「日々の指針」
 ー 西園寺 昌美 著

危機をのりこえるカ

1.

人は能力の限界に立たされた時、危機に直面した時、どうやって身を守る術を知るのだろうか?未だかつてそんな状態になっていないからわからないだけで、不思議とみな知っている。どんな人でも必ず乗り切れる術を与えられている。生れたばかりの赤ん坊でさえ知っている。それは素晴しい適応力である。

たとえば非常な困難、苦境、悲観、どん底の立場に立たされたとしよう。誰でも最初は発狂せんばかりの苦しみ、そして心の傷を背負い、二度と立ち直れるものではないと思うであろう。だが人間の内に秘められたる力は、人間に到底想像もつかない力を発揮し出す。だんだんにその状態に適応する力が生み出され、耐えてゆく力がついてくる。こうして人はみな独自の方法により自分の危機を乗り越えてしまうものである。その力こそ神からみな一様に与えられている潜在能力なのである。

2.

あなたは今、何を感じて何を見つめて生きているのであろうか?
そして何を考えて生きているのであろうか?
明日のこと?それとも将来のこと?或いは過ぎ去った過去の出来事?
人それぞれにあらゆる生き方を考えているに違いない。
自分の前に現われてきた目先のことばかりのみに想いや考えをむけないで、つねに一年、二年後の近い将来の楽しい出来事を設計し、夢見、心に描いて生活してゆくと、本当にその夢が思ってもみなかったように実現する。
心がつねに楽しい将来のことを想い描くため、今、目の前に現実として覆いかぶさってきている種々の苦しみや悩みや悲しみに、心が把われることがなくなると、その悩みは自然と通りすぎて消えていってしまう。常に心を転換させることが、生きてゆく一つのコツでもある。

3.

世の中にはいわゆるタイプの世界、範疇の世界には属さない人々が存在する。そういった人々は一般に変わり者とか、個性の強い人とかいわれている。だが私は決してそうとは思わない。彼らは、タイプや範疇を超えて生きているのだと思う。超えているからこそ、一般の常識的な人々の目からみれば、判断に苦しむ態度や言葉が多いのであろう。彼らは過去の世界に生きているのではなく、未来の世界に生きようとしている。そのため未だ一般の人々が見えない、判らない世界にもすでに一歩先に目覚めているのであろう。

4.

あなたの秘められた可能性を発揮するチャンスは、今なのだ。今をおいて他にない。
何をそんなに躊躇しているのか。何にそんなに拘(こだわ)っているのか。何が一体あなたを即行動に移さないようにしているのか。ためらう必要はない。さあ、今すぐ、この場において、あなたが考えていること、したいこと等は、即行動に移してゆくことだ。
実際行動に移してゆくその途中に、その間に、すべてが整ってゆくのだ。考えている間中は、実際問題何も出来ない。

書籍「日々の指針」(日本語/Japanese) 西園寺 昌美 著

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