神と人間 安心立命への道しるべ
 ー 五井 昌久著

序文

天と地をつなぐ絲目(いとめ)のひとすぢとならむ願ひに生命燃やしつ

 天の理想を地の現実に、天国浄土をこの地上界に、完全平和、完全法悦世界を実現せしめる、その一役なりともやらせていただきたい。

 こうした願いが祈りとなり、行動となって、生命を燃やしつづけていた私が、

ひたすらに神を想ひて合はす掌(て)のそれさへ消えてたゞに青空

と歌えるように、ひたむきな神への全託へと心が深まり、静まり、やがて、

天地(あめつち)のひびきひとつに海鳴(うみな)りと

なりしところゆ陽は出でにけり

と天地一体、神我一体、空即実相の調和せる心境に到達し、すべてを捨て、すべてを獲得し得る自己に生まれ変わっている時、この地上世界の業因は烈しい業縁にふれ、第二次大戦勃発、そして終結、日本の敗戦、第三次大戦への冷戦様相と、しだいに人類破滅へと押し流されようとしている。

 はたしてこの世界はいかになりゆくのであろう。聖書の予言の如く、最後の審判の日が近づいたのであろうか、人類の大半が死滅する時が迫りつつあるのであろうか。

 社会、国家、人類世界を、押しまくり、吹きまくる因縁業火の前に、個々人の調和への願い、大平和への理念は、甲斐なき力なのであろうか、天なる神ははたして人類を救い給うであろうか。

 現在人類のすべては、これらの不安に怯え、明日への希望を抱き得ず、迷いに迷ってゆくところを知らぬ有様である。

 この時にあたり、私は、人間が自己の本体をしり、神とつながり得たならば、人類はかかる不安昏迷の域を脱し、真の安心立命の境地に達することができ、やがては世界平和を樹立し得ることを信じ、神、霊、人間、業、因縁などについて、最もわかりやすく説き明かさんと思い立って、この書を認(したた)めたしだいである。

 私という人を知っている方は勿論、私を全然知らない方にもわかっていただけるものと確信する。

 昭和二十八年三月 著者識

著者について

1916年11月22日、日本の東京で生まれた五井昌久氏は、詩人、哲学者、作家、そして歌手でもありました。五井氏は音楽家を目指していましたが、哲学やスピリチュアルなガイダンスの領域に自然と引き込まれ、30歳の時に、彼は神我一体となり正覚を得ました。

五井氏は60冊以上の書籍や詩集を執筆しました。その中には、「神と人間」(彼の最初で最も代表的な作品)、「老子講義」、「聖書講義」、「霊性の開発」、「白光への道」、「天と地をつなぐ者」(彼の自伝)、「人類の未来」などが含まれています。これらの中で、「神と人間」、「天と地をつなぐ者」、「老子講義」、「人類の未来」は英語で出版されており、高橋英雄氏が編纂した五井昌久氏の叡智のコレクション「如是我聞」とともに出版されています。他の作品の翻訳も現在進行中です。

1980年にこの世を去る前、五井氏は彼の養女である西園寺昌美氏を後継者として指名し、彼が始めた世界平和の祈りの運動のリーダーとしています。

※この著者説明は日本語版には記載されておりませんが、英語版に記載されている内容を当サイトでオリジナル日本語翻訳しております。

書籍 「神と人間」 五井 昌久 著

God and Man (English Edition)

Dios y el Ser Humano (Spanish Edition) 

Deus e o Homem (Portuguese Edition)

Gott und Mensch (German Edition) 

kaa Mí Gàp Má-Nóot(タイ語)

おすすめの記事