「日々の指針」
 ー 西園寺 昌美 著

肩の力をぬけ

1.

薬も、運動も、食事療法も、鍼も、灸も、マッサージも健康を維持してゆく為には、ある程度必要かもしれない。が一度び不安や恐怖心が湧き上って来たら、果たして今まで続けて来た健康療法で乗り越えることが出来るであろうか。

身体を鍛える前に、心や精神を鍛える訓練をするほうが先決である。つねに小さな些細なこと、取るに足らないことにさえ、いちいち自分の心が傷つき、イライラさせられ、心配や不安にかられていたならば、健康療法などなんの意味もなさない。まず、どんなことが身のまわりに起っても、自分の心を痛めず、傷つけず、それに対して常に適切な対処が出来るように、心を養う必要がある。心が常に一定し、明るく光明に輝いていさえすれば、身体はいつも何もしなくても健康そのものなのである。肉体のコンディションはまず、心に起因しているものだということを知ることが大事である。

2.

潜在意識ほど厄介なものはない。潜在意識とは読んで字の如く、自分の表面意識では全く気がつかない隠れた意識のことである。それは自分さえも、まともにごまかしてしまうのである。自分の今置かれている環境に対して不満があると、いろいろな病気や不幸を自分自身が創り出し、それによって、病気そのものや不幸そのものを一種の防衛手段として使い、自分を守りぬくのである。ごまかされない為には、今の自分の心の中にどんな不満があるか否かを、ごまかさずにはっきりと見つめ、そしてそれと真正面に対座して、神に祈ることである。

3.

おしゃべりな人や話し好きの人は、相手の話を本当に聴いてはいない。たとえ聴いていたとしても、ただ形ばかりで真意ではない。聴いているようにみえて、実は自分の話のことを考えているにすぎない。聴くという行為は相手の心と一つになって考えることなのである。もしそれが難しかったら、まず相手の人を理解してあげることが、聴く人にとって最も大事な行為なのである。

4.

なぜ人間には二つの耳と一つの口があるのだろうか?それは自分の話すことの二倍聞くためである。目はなぜ前の方についているのだろうか?それは自分が常に未来に向いて突き進んでゆくものであって、決して過ぎ去った後(うしろ)を振り返って生きるものではないということだからである。

書籍「日々の指針」(日本語/Japanese) 西園寺 昌美 著

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