明日を明るくするメッセージ / 西園寺 昌美 著
人間は何が一番出来ないか。
それは謝ることではないかと思います。
謝るということは、言葉では簡単に言えますが、実際に行動に移すとなると、大変難しいものです。
なぜ素直に謝れないのか。
なぜ自分の失敗を失敗として認められないのか。
それは、自我のせいです。
私は謝ることが大好きな人間です。
自分の子供に対しても、自分が悪かったなと思えば、素直に謝ります。
ましてや、母や友達や周りの人たちに自分が悪かったと思えば、すぐ謝る。
しかも心の底から自分のいたらなさを反省して謝れるのです。
謝れば、相手は素直に私を赦してくれるし、寛大な心で思いやりと愛の言葉を述べてくれます。
そして、そのことを発端にして、お互いさらに調和し、信頼感が増し、素晴らしい一つの大きな輪になって進んでゆくのです。
ところが大半の人は、親子でも、嫁姑でも、兄弟や友達関係でも、素直に謝れない。
謝ることは、自分の自我が打ちのめされ自分が負けたということになる、自分の失敗にさらに追い討ちをかけることになる、という変な固定観念があって、なかなか人に対して謝れない。
ましてや妻が夫に謝る、夫が妻に謝るということはなかなか出来難い。
喧嘩しても、どちらも謝らないでくすぶり続けながら元の状態へ戻る。
私の場合、相手が百パーセント悪いと判っていても、自分から先に謝ってしまうのです。
いつまでも不機嫌な不調和な滅入るような状態を一刻も早く抜け出て、再出発したい。
これを一時間も二時間も一日も引きずっていくのは、生命エネルギーの無駄だ、と本心から思っています。
私にはその場で即、解決して出直そう、新しい気分によって新しい一日を始めようという信念がありますから、その良くない状態をいつまでも引きずってゆくのは大嫌いなのです。
しかし相手が悪いのに自分が謝るのは間違っているのではないか、それは相手に迎合することではないか、相手に媚びることではないか、相手にさらに業を積ませることではないか…等、いろいろな意見がありますが、私はそうではないと思います。
逆に相手に我を張らずに素直に心を開くチャンスを与えると思っております。
かつまた一つのことに対して、いつまでも引きずってゆくことは、生命エネルギーの浪費になるのです。
ですから、一刻も早くその場の解決をして、自分の生命エネルギーを有効に素晴らしい方向に使いたい、と思えば、まず自分から相手に素直に謝って、相手が新しい因縁をつくらないで喜びをもって再出発できるようにもっていけばいいのです。
真理を知った人たちが、謝ることによって、相手が改めて喜びをもって生きられるなら、それでいいのではないでしょうか。
そして自分が謝る時に、
相手の天命が完うされますように、
相手が真理に一刻も早く目覚めますように、
と思って謝ることは、
決して負けたことでもないし、相手に媚びることでもないし、相手を立てることでもないのです。
お互いが喧嘩や失敗などを通して、消えてゆく姿で消えていって、これからよくなろうとする瞬間ですから、消えてゆく時には、憎しみや嫉妬や不平不満など、いろいろな業想念が出ても構いません。
その出た後が大事なんです。
その時、素直に謝る。
心から謝ってしまえばいいのです。
自分が悪ければ、なおさらのこと謝らなければ駄目です。
謝らなければ自分自身の人生によくない。
謝ってしまえば、新しい生き方、喜びと希望に溢れた出発が出来るのです。
皆様も心から進んで謝れるよう、自らをプッシュしてみてください。
案外、思ったよりも簡単なものです。